2011/09/11

サマーチャレンジ

更新が滞ってます。
ごめんなさい。
今回は8/19-28に行われたKEKサマーチャレンジのあれこれを書きたいと思います。

このKEKサマーチャレンジですが、毎年夏休みに開かれている(確か今年で5回目)主に大学3年生を対象としたイベントです。
最初は素粒子・原子核のグループだけで行っていたのですが、昨年度から我らが物構研も参加を開始。
昨年度は私の所属している中性子からの参加はなかったのですが、今年はお鉢が回ってきました。
個人的にこういうイベントは好きなのでちょっと興味はあったのですが、実際に演習をやるとなるとなかなかこれが大変そう。
それに加え、私が普段いる東海キャンパスではなくつくばキャンパスで開催されるということでいつもの実験装置は使えません(輸送も不可能ではないが、高価な実験機器が破損するリスクを考えると…)。
どうしたものかと頭を悩ませつつも、周りの方にアドバイスをいただきながら「実験機器が無いなら作ってしまおう作戦」ということで、高分子の薄膜を測定するのによく使われるエリプソメーターを作ることにしました。
また、作るだけではおもしろくないかなと思い、試料に使う高分子の薄膜でしばしば起きる「脱濡れ」という現象についても顕微鏡で観察することに。
協力を要請する大学の先生にも了解を取ってようやく実習として成立するめどがつきました。

が、当然ながら本当の準備はここからです。
色々と障害はあったのですが、最大の問題は「実はエリプソメーターを使ったことがない」ということでした(無謀?)。
というわけで、まずは教科書を購入して原理の理解を進めつつ必要になりそうな機器の吟味。
実習では装置の組み立てからやりたかったので、なるべく市販品の組み合わせでできるように部品を選んで発注。
時間があまりなかったので納期の問題が生じたりもしつつも、8月頭に何とか部品をすべて確保。
その間、TA等をお願いした九大の皆さんに試料の選定に関する予備実験を平行して行ってもらい、実際に測定するであろうテストサンプルも確保。
部品を組み立てた後にとりあえずテストサンプルを測定し、生データに違いが出ているしちゃんとワークしてるっぽい、ということを皆で確認。
ここまでを何とかお盆直前に済ませることができました。

その後、講義資料などを作りつつ、サマーチャレンジが始まる8/19につくばへと移動です。
結局、持って行った機材はエリプソメーターの部品、高分子の薄膜を作るスピンコーター、試料を準備に使うこまごました実験機器などで、車の後列シートを倒して輸送することができました。
初日は学生さんが丸一日講義ということで、スタッフ向けのオリエンテーションを受けた後に機材の搬入と物品の確認を行いました。
ただ、抜けがないように気をつけたつもりでも足りない部品は出てくるもの。
特に今回のようにばたばたしている場合は当然その点数も多くなります。
ありがたいことにつくばのスタッフの皆さんが色々と協力してくれたのでそれなりに部品は調達できたのですが、実習が始まってどうしても必要な機材が足りないことに気づき、泣く泣く東海に取りに戻りました(その間、学生さんは待ちぼうけ)。
また、エリプソメーターは偏光した光の性質を利用して膜厚を測定するのですが、これをちゃんと理解するのはなかなか難しく、準備不足も相まってなかなか演習は進みません(今にして思うと、試料の作成など色々と詰め込みすぎたのも問題だったかも)。
挙げ句の果てにはサマチャレが無事(?)始まって気が抜けたのか私が風邪を引いてしまう始末。

そんなカオスな状況でしたが、それでもきちんと演習を終えることができたのは、ひとえにサポートしてくれたのは演習アシスタントの皆さんと学生さんの頑張りの賜だと思います(もちろん裏方の事務スタッフの方々も)。
特に主役の学生さんは本当によくがんばっていて、最終日の前日、僕は少しでも休むように言った(少なくとも言ったつもり)にもかかわらず、演習成果の発表準備に向けて自主的に貫徹でスライド作成に取り組んでいました。
発表内容もしっかりしていて、その数日前にあった中間発表と比較して見違えるほど良くなったとの感想も聞かれるほどでした。
ただ、その頑張りに刺激され、徹夜明けの朝に僕が出した微修正の指示は「泣きそうだった」という声もあったりなかったり…

実は他にもエリプソメーターに使う検出器が原因不明の突然死とかいっぱいトラブルはあったのですが、挙げるときりがないこの辺にしておきます。
とにかく、私の側から見てもこのサマーチャレンジはチャレンジだったし、学生さんと一緒にチャレンジを終えることができて本当に満足しています。
もちろん、色々と問題点はあったのでそれは来年のチャレンジで克服してきたいと思います。
関係者の皆さん、本当にお疲れ様でした!!