2008/04/25

笹川科学研究助成 研究奨励の会

笹川科学研究助成という若手研究者(大学院生含む)を対象とした研究助成金があります。日本科学協会というところがこの事業を展開しているのですが、昨年度申請した研究課題が運良く採択されまして、今日は赤坂のホテルで助成金の説明会と、それに付随したセレモニーに出席してきました。
相変わらず複雑な東京の地下鉄を何とかクリアし、ホテルに着いたのもつかの間、入ったフロアが何階なのかもよくわからず、右往左往しながらようやく会場へ。割とぎりぎりだったのだけど、雰囲気も割と緩く、ちょっとくらいだったら遅刻しても問題なかったのかも(いや、しないけど)。
とりあえず交付金に関する説明や決定通知書の授与なんかの事務的な会を終え、懇親会という名のランチタイムへ。でも、この研究助成は僕がやっている自然科学だけでなく、人文とか芸術とか幅広い分野への支援活動なので、当然のように知っている人は皆無(厳密には一人いるはずだったけど来てなかった)。さてどうしたものかと思ったけれど、まぁせっかくの機会なので色々な人としゃべってみようということで3人くらいの人に声をかけてみた。一人は半導体をやっているポスドクの方で、同じ物理学会員。一人はイオン液体の合成をやっているポスドクの方で、化学会員。一人はクロロフィルの分解過程を調べてる学生さんで、やはり化学会員。今振り返ると、もっと違う分野の人に話しかけてみてもおもしろかったかもなぁ。
で、帰りに気がついたのだけど、せっかくしゃべったのに連絡先交換するの忘れてた。こういうとき名刺ってやっぱ便利なのかも。今まで面倒で作ってなかったけど、ホームページも作ったことだし、名刺も作ってみるかなぁ。

2008/04/19

SPring8出張

4/17,18は、京都大学時代の関係者5名でSPring8へ実験に行ってきました。SPring8とは放射光というすごく強い光を使って実験できる施設で、かなり大がかりな施設(おそらく年間100億円規模のランニングコスト)のため、研究者や企業が共同で使いましょう、という体制で運営されています。山奥にあるためアクセスするのがすごく大変なんですが、数年前に山陽道からSPring8の近くまで行ける高速道路が開通してます。すごい。ちなみに、カレー毒物混入事件のヒ素を同定したので有名です。 

さて、このSPring8には様々な実験ステーションがあって、今回はBL40B2(写真参考)というX線小角散乱が使えるステーションで実験してきました(ヒ素とは別の装置です)。BL40B2はこれまでもたびたび利用させてもらってる(学生時代から数えて…もう7,8年!!)ので勝手はわかってますが、今回は真空に引くためのチューブ(写真奥)の窓が破れる、というトラブルが2回も発生。真空関係のトラブルは、下手するとケガにつながりかねない上に、空気が漏れる音とかでものすごい音がするため、うるさいわひやひやするわでちょっと大変でした。とはいえ、実験自体は順調でしたし、いくつかおもしろそうなデータもとれたので今後の展開が楽しみです。
ただ、こういう共同利用施設の実験って、限られた時間(今回は丸1日)の中で色々な実験をしなくてはいけないのでフルタイムで実験することになります。一応シフトを組んだりして負担が減るように調節はしますが、「1日ならまぁいいか」って感じで実験のキーメンバーは半徹夜で実験することもしばしばです。僕も今回はいくつか実験させてもらったのでずっと起きていたのですが、4時ぐらいに応援部隊がやってきた頃からKO。がんばって起きようとするんだけど耐えきれずいつの間にか寝てる、ってパターンを数時間繰り返してしまいました。不覚。

最後にどうでも良い話題を一つ。
SPring8に限らず、大学や研究所の売店は色々なスペシャルグッズを取り扱っていますが、今回の注目の品は"SPring8メジャー"です。なぜメジャーかといいますと、放射光施設は巨大な円形のリングになっているので、これをぜんまいみたになっているメジャーの収納部分に見立てているのだと思います。こういう「ならでは」感があるお土産ってなかなか無いのですっかり気に入ってしまい、思わず買ってしまいました。うちの研究所ももう少しひねったグッズを売り出して欲しいなぁ。

2008/04/14

RESEARCH(日本語)更新

web pageのRESEARCH(日本語)を更新しました。
これで、とりあえず日本語のページは体裁が整いました。
あとは英語ですね…はぁ。

2008/04/13

勝手に論文紹介(3月分)

備防録をかねて、最近落とした(けど読めてない)論文の簡単な紹介をすることにしました。多分、勘違いなコメントも多いかと思いますので、そのときは「こそっと」教えてください。

J.-B Fournier and C. Barbetta, "Direct Calculation from the Stress Tensor of the Lateral Surface Tension of Fluctuating Fluid Membranes", PRL 100 (2008) 078103.
膜の曲げ弾性と張力を考慮したハミルトニアン(Helfrich Hamiltonian)に関する論文。内容はちゃんと読んでないが、膜の波状運動について考えるときに何かの役に立ちそうなのでとりあえず落とした。

S. Semrau, T. Idema, L. Holtzer, T. Schmidt, and C. Storm, "Accurate Determination of Elastic Parameters for Multicomponent Membranes", PRL 100 (2008) 088101.
ラフトのようなmulti-componentの系で蛍光顕微鏡像から膜の曲げ弾性等を求める論文。値もまぁ妥当っぽい。暇があったらざっといいのでもう少し詳しく読んでみよう。

T. Bandyopadhyay, "Single-file diffusion through inhomogeneous nanopores", JCP 128 (2008) 114712.
カーボンナノチューブなんかを仮定した太さが不均一なナノポアに拘束された粒子の拡散挙動の理論…だと思う。ラフな表面か何かを仮定すると1次元の拡散(t^1/2)からずれるらしい。高分子だとどうなる?

F. Ikkai, "Structural Colored Balloons Consisting of Polystyrene Microcapsules in Water", Langmuir 24 (2008) 3412-3416.
数百μm程度のポリスチレンマイクロカプセルの論文。膜厚が可視光の波長程度なので構造色を持つらしい。色がきれいで思わず「へぇ~」って言ってしまった。

Y.-M. Yang, K.-C. Wu, Z.-L. Huang, and C.-H. Chang, "On the Stability of Liposomes and Catansomes in Aqueous Alcohol Solutions", Langmuir 24 (2008) 1695-1700.
アルコールに対するベシクルのlifetimeを調べた論文。ベシクルは大豆レシチンを用いたもの、対イオン性のCatanionic surfactantを用いたものの2種類で、比較している。レシチンもいわばCatanionic surfactantなので、こういう着眼点も重要だろうと思う。

E. Johansson, M. C. Sandstrom, M. Bergstrom, and K. Edwards, "On the Formation of Discoidal versus Threadlike Micelles in Dilute Aqueous Surfactant/Lipid Systems", Langmuir 24 (2008) 1731-1739.
cryo-TEMで界面活性剤/リン脂質混合系の構造変化を観測。平板や針状のミセルが形成されるが、どちらが形成されるかは脂質の状態と界面活性剤の電荷に依存する。意外と平板ってできやすい。

T. Toyota, K. Takakura, Y. Kageyama, K. Kurihara, N. Maru, K. Ohnuma, K. Kaneko, and T. Sugawara, "Population Study of Sizes and Components of Self-Reproducing Giant Multilamellar Vesicles", Langmuir 24 (2008) 3037-3044.
ちゃんと理解してないのだが、2種類のカチオン性界面活性剤(片方は短い1本鎖、片方は長い2本鎖)の足同士を化学的につないでおいて、それをあとで切る。長い2本鎖の成分はMLVを作るのだが、そのMLVがどんどん同じサイズで増殖していくらしい。何か不思議だ。

J.-Y. Wang, W. Chen, J. D. Sievert, and T. P. Russell, "Lamellae Orientation in Block Copolymer Films with Ionic Complexes", Langmuir 24 (2008) 3545-3550.
LiClを混ぜたブロックコポリマーをSi基盤上で薄膜にした際の構造を電顕とGI-SAXSで調べた論文。電荷により、in-planeの構造形成が促進されるらしい。やっぱ電顕と散乱の組み合わせは説得力あるなぁ。

A. Beerlink, P.-J. Wilbrandt, E. Ziegler, D. Carbone, T. H. Metzger, and T. Salditt, "X-ray Structure Analysis of Free-Standing Lipid Membranes Facilitated by Micromachined Apertures", Langmuir 24 (2008) 4952-4958.
微細加工を使って黒膜を簡単に作ろう、ということだと思う。このグループは基板上の支持膜を反射率で見る仕事を主にしていたのだが、次はfreeな膜に挑戦しよう、という感じなのだろう。去年の国際学会でポスターをチラ見したのだけど(本当は聞きたかったが貼り逃げしてたので話は聞けず)、反射率はまだうまくいってないように見えた。

2008/04/11

はじめに

研究者的な仕事をしている山田と申します。ホームページを作ったんで、それならブログとやらも、という感じで作ってみました。主に研究に関するメモ的なものにしていく予定です。あと、世間にcontributeするためにグラフ作成ソフトigorのマクロ解説みたいなのも作れるといいかなぁなんてことも考えてますが、こっちは実現させるか微妙なところです。

とりあえず、肩の力を抜いてやっていきますので、生暖かく見守ってください。