2008/04/13

勝手に論文紹介(3月分)

備防録をかねて、最近落とした(けど読めてない)論文の簡単な紹介をすることにしました。多分、勘違いなコメントも多いかと思いますので、そのときは「こそっと」教えてください。

J.-B Fournier and C. Barbetta, "Direct Calculation from the Stress Tensor of the Lateral Surface Tension of Fluctuating Fluid Membranes", PRL 100 (2008) 078103.
膜の曲げ弾性と張力を考慮したハミルトニアン(Helfrich Hamiltonian)に関する論文。内容はちゃんと読んでないが、膜の波状運動について考えるときに何かの役に立ちそうなのでとりあえず落とした。

S. Semrau, T. Idema, L. Holtzer, T. Schmidt, and C. Storm, "Accurate Determination of Elastic Parameters for Multicomponent Membranes", PRL 100 (2008) 088101.
ラフトのようなmulti-componentの系で蛍光顕微鏡像から膜の曲げ弾性等を求める論文。値もまぁ妥当っぽい。暇があったらざっといいのでもう少し詳しく読んでみよう。

T. Bandyopadhyay, "Single-file diffusion through inhomogeneous nanopores", JCP 128 (2008) 114712.
カーボンナノチューブなんかを仮定した太さが不均一なナノポアに拘束された粒子の拡散挙動の理論…だと思う。ラフな表面か何かを仮定すると1次元の拡散(t^1/2)からずれるらしい。高分子だとどうなる?

F. Ikkai, "Structural Colored Balloons Consisting of Polystyrene Microcapsules in Water", Langmuir 24 (2008) 3412-3416.
数百μm程度のポリスチレンマイクロカプセルの論文。膜厚が可視光の波長程度なので構造色を持つらしい。色がきれいで思わず「へぇ~」って言ってしまった。

Y.-M. Yang, K.-C. Wu, Z.-L. Huang, and C.-H. Chang, "On the Stability of Liposomes and Catansomes in Aqueous Alcohol Solutions", Langmuir 24 (2008) 1695-1700.
アルコールに対するベシクルのlifetimeを調べた論文。ベシクルは大豆レシチンを用いたもの、対イオン性のCatanionic surfactantを用いたものの2種類で、比較している。レシチンもいわばCatanionic surfactantなので、こういう着眼点も重要だろうと思う。

E. Johansson, M. C. Sandstrom, M. Bergstrom, and K. Edwards, "On the Formation of Discoidal versus Threadlike Micelles in Dilute Aqueous Surfactant/Lipid Systems", Langmuir 24 (2008) 1731-1739.
cryo-TEMで界面活性剤/リン脂質混合系の構造変化を観測。平板や針状のミセルが形成されるが、どちらが形成されるかは脂質の状態と界面活性剤の電荷に依存する。意外と平板ってできやすい。

T. Toyota, K. Takakura, Y. Kageyama, K. Kurihara, N. Maru, K. Ohnuma, K. Kaneko, and T. Sugawara, "Population Study of Sizes and Components of Self-Reproducing Giant Multilamellar Vesicles", Langmuir 24 (2008) 3037-3044.
ちゃんと理解してないのだが、2種類のカチオン性界面活性剤(片方は短い1本鎖、片方は長い2本鎖)の足同士を化学的につないでおいて、それをあとで切る。長い2本鎖の成分はMLVを作るのだが、そのMLVがどんどん同じサイズで増殖していくらしい。何か不思議だ。

J.-Y. Wang, W. Chen, J. D. Sievert, and T. P. Russell, "Lamellae Orientation in Block Copolymer Films with Ionic Complexes", Langmuir 24 (2008) 3545-3550.
LiClを混ぜたブロックコポリマーをSi基盤上で薄膜にした際の構造を電顕とGI-SAXSで調べた論文。電荷により、in-planeの構造形成が促進されるらしい。やっぱ電顕と散乱の組み合わせは説得力あるなぁ。

A. Beerlink, P.-J. Wilbrandt, E. Ziegler, D. Carbone, T. H. Metzger, and T. Salditt, "X-ray Structure Analysis of Free-Standing Lipid Membranes Facilitated by Micromachined Apertures", Langmuir 24 (2008) 4952-4958.
微細加工を使って黒膜を簡単に作ろう、ということだと思う。このグループは基板上の支持膜を反射率で見る仕事を主にしていたのだが、次はfreeな膜に挑戦しよう、という感じなのだろう。去年の国際学会でポスターをチラ見したのだけど(本当は聞きたかったが貼り逃げしてたので話は聞けず)、反射率はまだうまくいってないように見えた。

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